SBI Leasing Services
Market Update
VOL.51 MAY 2026
本メルマガでは、SBIリーシングサービス(東証GRT 5834/以下、当社)が取り扱う航空機業界に関連する最新のマーケット情報をご案内しています。

今月号では、以前のメルマガでも取り上げた米スピリット航空の破綻に関する続報に加え、四半期ごとに特集している米国主要エアライン3社の決算概要について取り上げています。後段では、毎月恒例となっている外部格付け動向、航空機メーカー大手2社の受注・デリバリー実績、ならびに世界の主要エアラインにおける売上高ランキングおよびフリート構成について取りまとめています。
【米国主要エアライン3社における2026年第1四半期の決算概況】
デルタ航空デルタ航空
2026年第1四半期の業績は、売上高が159億米ドルと前年同期比13%増となり、過去最高の第1四半期売上を記録しました。プレミアム・法人需要に加え、ロイヤルティ収入、MRO、製油関連収入の伸長が増収を牽引しました。一方、最終損益は保有投資先の評価損により2.9億米ドルの赤字となったものの、営業利益は前年微減の5.0億米ドルを確保しています。見通しについては、中東情勢を背景とする燃油高を受け、キャパシティを抑制し、運賃転嫁とプレミアム・ロイヤルティ収益の拡大で収益性を維持する方針です。
ユナイテッド航空ユナイテッド航空
2026年第1四半期の業績は、売上高が146億米ドルと前年同期比10.6%増となり、過去最高の第1四半期売上を記録しました。増収要因は、デルタ航空と同様に、プレミアム需要の拡大、法人需要の回復、ロイヤルティ収入の伸長でした。燃油高の逆風下でも、ロイヤルティの高い顧客基盤の強さが際立つ内容でした。今後の見通しについては、燃油高を前提にキャパシティを下方修正しつつ、運賃転嫁と収益性重視の運航で対応する方針です。なお、アメリカン航空との統合観測については、決算発表時にスコット・カービィCEOは具体的コメントを避けつつも、業界再編を巡る思惑を完全には否定しませんでした。
アメリカン航空アメリカン航空
2026年第1四半期の業績は、売上高が前年同期比10.8%増と堅調でしたが、冬季嵐による減収影響と燃油費増加を吸収し切れず、最終的には赤字となりました。プレミアム・法人需要やロイヤルティ施策が増収を支えた点ではデルタ航空やユナイテッド航空と共通していますが、燃油高や外部ショックに対する耐性には差がみられます。なお、ユナイテッド航空との統合観測報道に対しロバート・アイソムCEOは、ユナイテッド航空とは「ルームメイトであって結婚するわけではない」と述べるなど、不快感をにじませながら統合案を否定しました。
<2025年通期:売上高推移(左)ならびに最終損益推移(右)>
2025年通期:売上高推移(左)ならびに最終損益推移(右)
(出所:各社決算発表資料を基にSBILSが作成)
【スピリット航空の事業停止に対する考察】
米国ULCC(Ultra Low Cost Carrier)の代表格であったスピリット航空が、2026年5月、全便運航停止および清算プロセスへ移行しました。
<コロナ後のスピリット航空とチャプター11の経緯>
同社は、コロナ禍後の需要回復局面において一定の旅客需要を取り込んだものの、複数の構造問題に直面しておりました。Pratt & Whitney社製のGTFエンジン問題により機材稼働率が低下したことに加え、JetBlue航空との統合計画が米国当局によって阻止されたことで、スケール拡大による競争力強化という可能性を失いました。また、大手エアラインによるベーシックエコノミー運賃の浸透により、同社が強みとしていた超低価格運賃戦略の差別化も徐々に薄れておりました。
さらに、米国航空市場では労務費や空港関連コストの上昇が続いており、大手航空会社のような価格転嫁力やネットワークによる収益分散効果が限定的であったことも、同社の収益性を圧迫していました。
こうした状況下、同社は2024年11月に最初のチャプター11(CH11)を申請しました。その後、債務削減や機材整理等を進め、一旦は再建に向かうと見られておりました。しかし、全体的なインフレに伴うコスト上昇により再び資金繰りが悪化し、2025年8月には二度目のCH11へ移行しました。さらに、2026年2月末以降のイラン情勢悪化等を背景とした燃料価格高騰により、わずか2か月間で燃料コストが約1億ドル増加し、同社の流動性を完全に毀損する結果となりました。
同社は、米国政府に対し数億ドル規模の支援要請をしたものの実現には至らず、2026年5月、米国航空業界において約20年ぶりとなる大手エアラインの消滅事例として、清算プロセスへ移行しました。
<スピリット航空の運航機材について>
スピリット航空の運航機材
今回、航空ファイナンス市場で特に注目されるのは、同社機材の放出です。航空機データを提供するCirium社によると、2026年4月末時点で同社の運航機数(含む駐機機材)は172機となっております。
今回の清算に伴い、A320ceo/neoファミリー機が市場へ放出される見通しですが、市場全体への影響は限定的と見られています。背景には、航空機メーカーによる新造機供給遅延、エンジンMROボトルネック、新造機不足等があり、世界全体では依然として機材の需給がタイトな状態が続いています。
今後、自社保有機は市場売却、リース機材は各リース会社へ返却される見通しです。主なリース会社としては、独立系大手のAerCapやSky Leasingに加え、日系ではSMBC Aviation Capital、Sumisho Air Lease、Orix Aviation等が挙げられます。
なお、航空ファイナンス専門誌Airfinance Journalによると、旧世代のA320ceoについては、短期的にリース料率が低下する可能性があると指摘しています。一方、A320neoについては、中東・インド・北米を中心に依然として強い需要が存在しており、今回の市場放出による需給への影響は限定的と考えられます。
(出所:2026/5/5 Airfinance Journal “Spirit wind-down releases 66 A320 leases”を基にSBILSが作成)

【航空機メーカー大手2社の受注・納機の状況について】

<各社のグロス・オーダー推移について>
2026年3月のグロス・オーダーは、エアバス社が331機、ボーイング社が33機となり、エアバス社が大きくリードする結果となりました。エアバス社の受注には、エアキャップからの100機発注や、中国東方航空による101機の大型契約が含まれています。
各社のグロス・オーダー推移
<各社のデリバリー実績推移について (月累計)>
2026年3月のデリバリー実績は、エアバス社が60機、ボーイング社が46機となりました。一方で、第1四半期累計では、ボーイング社が143機デリバリーし、前年同期を上回るペースで推移しています。これに対し、エアバス社はPratt & Whitney社製エンジンの不具合の影響を受け、第1四半期累計のデリバリー数は114機に留まり、ボーイング社を下回る結果となりました。
また、ボーイング社は2026年第1四半期決算において、開発遅延が続いていた737MAX-7型機および737MAX-10型機について、2026年中の型式証明取得と、2027年の初号機納入を見込んでいると発表しました。加えて、737MAXの目標月産機数についても、現在の42機体制から47機体制への引き上げ方針を示しており、生産正常化に向けた動きが進展しています。
各社のデリバリー実績推移
<うち、ナローボディ機のデリバリー実績について>
エアバス社の受注残は2026年3月末時点で9,031機に達しており、その大部分をA320neoファミリーが占めています。同様に、ボーイング社の受注残は6,719機となっており、主力は737シリーズです。両社ともに高水準の受注残を維持しており、短中期的には需給逼迫の状況が継続する見通しです。
ナローボディ機のデリバリー実績
(出所: *2026年3月末時点 エアバス社、ボーイング社が月次に公表するデータならびにForecast Internationalを基にSBILS作成)
【外部格付の動向について】
格付機関ムーディズ社は、ニュージーランドのフラッグキャリアであるニュージーランド航空に対し、格付を据え置いた一方、中東情勢を背景とした燃油価格上昇やエンジントラブルによる供給制約、収益性の低下を踏まえ、格付見通しを「安定的」から「ネガティブ」へ変更しました。
また、S&P社は、米国のアラスカ航空グループについて、中東情勢に伴うジェット燃料価格高騰によりキャッシュフローおよび財務健全性に対し、悪化が見込まれることから、格付を「BB」から「BB-」へ引き下げました。
さらに、フィッチ社は、カナダのウエストジェットに対し、燃油価格上昇に伴う収益性悪化や高止まりするレバレッジ水準を背景に、格付を「B」から「B-」へ引き下げました。
<各エアラインの外部格付動向>
各エアラインの外部格付動向
(出所: 2026年5月11日時点 各格付機関によるデータを基にSBILS作成)
【各エアラインの時価総額について】
各エアラインの時価総額
(出所: 2026年5月11日時点 各証券取引所による情報を基にSBILS作成)
【各エアラインの直近12ヶ月の売上高(降順)について】
各エアラインの直近12ヶ月の売上高(降順)
(出所: 2026年5月11日時点 各エアラインの一般公開されている決算発表資料を基にSBILSが作成)
各エアラインにおける運航フリートのリース割合について(含む、リージョナルエアライン)
各エアラインにおける運航フリートのリース割合
(出所: 2026年4月末時点 Ciriumのデータを基にSBILS作成)
【バックナンバー】
バックナンバーのご希望について: これまでのバックナンバーをご希望のお客様は、お気軽に担当営業員までお申し付けください。
<過去24ヶ月バックナンバー一覧>
過去24ヶ月バックナンバー一覧
以上

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